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感情の筋トレ しなやかに折れない心を育てる

  • 執筆者の写真: ACBaL
    ACBaL
  • 4月3日
  • 読了時間: 4分

更新日:6月22日

小さな「心の回復力」が人生を支えてくれる

これは特別な人のためのメンタル術ではありません。誰もが育てられる“しなやかな強さ”の話です。


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「もっと健やかに、もっと自分らしく」。 そんな願いをもつあなたと共に、「未来志向の健幸(けんこう)」をテーマに、身体・心・社会とのより良い関係性を紐解いていきます。

今回のテーマは「感情の筋トレ」。 それは、重たい感情をなくす方法ではなく、感情に“のまれない力”を日常の中で育てる習慣のことです。


マイクロレジリエンス習慣


現代は、感情が忙しい時代です。 不安、焦り、怒り、そしてふとした寂しさ…。SNSやニュースから飛び込んでくる刺激的な情報は、知らず知らずのうちに私たちの感情を揺らし続けています。

では、どうすれば感情に振り回されず、自分らしさを保ち続けることができるのでしょうか? 答えのひとつは、「小さなレジリエンス=マイクロレジリエンス」を積み重ねることにあります。

感情は「消す」ものではなく「整える」もの 脳科学と心理学が語る感情の調律法

感情は“防衛本能”から生まれている


感情の正体は、脳の「扁桃体(へんとうたい)」という部位の活動によって生まれると言われています。 これは原始的な防衛本能を司る部位で、外界の変化に「危険だ」と反応して私たちを守ってくれているのです。

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しかし現代社会では、この反応が過剰になることがあります。 たとえばメールの未返信、SNSの比較、予定通りにいかない日常…。本来危険ではない出来事にも扁桃体が反応し、過度なストレスや不安感を引き起こしてしまうのです。

自分で感情を「調律」する力=セルフ・レギュレーション


この感情の波に呑まれないために、カギを握るのが前頭前皮質(PFC)と呼ばれる脳の“理性”のエリアです。 このPFCを活性化することで、扁桃体の反応を「一呼吸」おいて受け止めることができるようになります。

つまり、感情に反応する前に「一時停止」する力=セルフ・レギュレーション(自己調整)を鍛えることが、日々の穏やかさとレジリエンスの源となるのです。


マイクロレジリエンスを育てる3つの感情習慣

1日3分からできる「心の筋トレ」


1.「ラベリング」:感情に名前をつける

自分が今、どんな感情にいるかを「言葉にする」ことで、感情の正体が明確になります。 たとえば「なんとなくモヤモヤする」ではなく、「今、自分は不安を感じている」「焦っている」といった具合に。

言葉にするだけで扁桃体の活動が落ち着き、感情との距離が生まれることが脳科学でも示されています(UCLA社会認知神経科学研究所の実験より)。

習慣ヒント: 朝や昼に、今の気分を一語で書き出す「感情ログ」を3日続けてみる。


2.「ことばの再構築」:セルフトークを変える

自分にかける言葉の質が、感情の質を左右します。 「なんでできないんだ」より「今日はここまで進めた自分を認めよう」といった**セルフ・コンパッション(自己への思いやり)**が、長期的なレジリエンスにつながるとされています。

習慣ヒント: 夜寝る前に、「今日、ちゃんとやったこと」を1つ書き出す習慣を。


3.「間をとる」:3分の静寂タイム

感情が高ぶっているときほど、立ち止まることが大切です。 1分でも3分でもいい。深呼吸や軽いストレッチで「今の瞬間に戻る」ことが、感情の流れをリセットしてくれます。

習慣ヒント: タイマーを3分に設定し、ただ座る。呼吸に意識を向けるだけでOK。


感情との良い距離感を持つということ

「真のレジリエンスとは bounce back(跳ね返る)ことではなく、苦しみを“正直に抱え”、回復することだ」 ルーシー・ホーン博士(1970年代生まれ/ニュージーランド/ポジティブ心理学研究者)


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私たちの心は、鍛えればしなやかになります。 レジリエンスは特別な才能ではなく、日々のちょっとした「気づき」と「言葉」と「休息」で育てられる力です。


感情に敏感であることは、弱さではなく、豊かさ。 自分の内面を整える習慣を持つことで、外の世界との関係性も変わっていく――そんな感覚を、あなたの毎日に取り入れてみませんか?


誰もが誰かのライフセーバーに


誰かの命を救うのは、医師やカウンセラーだけではないかもしれません。たったひと言「どうしたの?」と声をかけてくれたあの人。何も言わず、ただそばにいてくれたあの人。そうした誰かの存在が「孤立」という選択肢を遠ざけてくれると考えています。


私たち一人ひとりが、誰かの「ライフセーバー」になることが求められている時代です。その第一歩は、見えない心の声に静かに耳を澄ますことから始まるのではないでしょうか。

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【参照】

・TED Talk「The three secrets of resilient people」

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