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書くことは癒すこと

更新日:2 日前

心をほどく“ジャーナリング・ウエルビーイング”


自分に触れるように、書くという行為



もっと健やかに、もっと自分らしくそんな願いをもつあなたと共に、「未来志向の健幸(けんこう)」をテーマに、身体・心・社会とのより良い関係性を紐解いていきます。

「書く」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?日記、ノート、メール、報告書…。現代の私たちは日々、文字に触れています。でも、今回のテーマは“誰かに見せるため”ではなく、自分のために書くという行為です。

その小さな時間が、実は心の奥を整え、癒し、前を向く力になる。近年、世界中の心理学や神経科学の研究で、“ジャーナリング(書く瞑想)”の力が注目されています。



科学と心理が証明する「書くこと」の癒しの力


感情の解毒と、思考の整理


「書くと落ち着く」は本当だった。

アメリカの心理学者ジェームズ・ペネベーカー博士は、「感情的出来事を言語化して書くことで、ストレス反応が軽減される」という研究を30年以上にわたり行ってきました。被験者に過去のつらい体験を、1回15〜20分、数日間にわたり書き続けてもらった結果、

  • 血圧や免疫反応の改善

  • 不眠や不安感の軽減

  • 学業や仕事での集中力向上

    など、身体的・心理的な効果が明確に現れたと報告されています。


この効果の理由は、「言語化」が持つ力。混乱しているときの思考や感情は、“もや”のように曖昧です。でも書くことで、“もや”が形を持ち、「私はこう感じていたんだ」と気づくことができるのです。


前向きに変わる“リフレーミング”効果


書くことで得られるもう一つの恩恵が、「リフレーミング(再構築)」です。たとえば、「うまくいかなかった仕事」を書くとき、最初は苛立ちや後悔がにじむかもしれません。けれど、書き続けていくうちに、

  • 自分なりに頑張ったこと

  • 小さな学び

  • 他人との違いや距離感

    など、“別の角度”から見つめ直す視点が育っていくのです。

これが、書くことで“癒し”だけでなく“回復”へとつながる理由でもあります。

ジャーナリングを暮らしに取り入れる方法


書くことは、誰にでも開かれたセルフケア

1. 書くタイミングは「朝か夜」がおすすめ

  • 朝に書く:今日の気持ち、やりたいこと、不安なことを書き出すことで、思考を整理し、集中力アップに。

  • 夜に書く:その日の出来事、うれしかったこと、もやもやした感情を書き出すことで、心が落ち着き、睡眠の質が上がります。

実践ヒント: 3分でもOK。「完璧に書く」ことより、「正直に書く」ことを大切に。

2. 書く内容は自由。けれど迷ったら「3行日記」

何を書いたらいいか分からない…という方には、「3行日記」という形式がおすすめです。

  1. 今日あった、よかったこと

  2. 今日の自分をほめたいこと

  3. 明日、自分にやさしくしたいこと

たったこれだけ。けれど、自分との関係性を少しずつ深める効果があります。

3. ノートとペンを、お気に入りにする

スマホでもOKですが、アナログのノートとペンを使うことで、「書く」という行為が儀式的になり、集中力が高まります。装丁や紙の手触りにこだわったノートは、書くこと自体を楽しむきっかけになります。

実践ヒント: 書く前に、お茶を淹れる・香りを焚くなど、**書き出すための“心のトリガー”をそっと置いておくのも効果的です。

書くことは、自分にやさしくなる練習


「書くとは、まず手を動かし続け、黙って自分の内面に向き合う行為」 ナタリー・ゴールドバーグ(1948–/アメリカ/作家・書く瞑想の提唱者)



忙しさに飲み込まれそうな日々の中で、「書く」ことは、自分を“取り戻す”ためのシンプルな方法です。癒しとは、誰かが与えてくれるものではなく、自分で自分に差し出せる優しさでもあるのだと、書きながら気づいていけるのです。


1ページ、3分でいい。今日のあなたに、言葉を手渡してあげてください。



誰もが誰かのライフセーバーに


誰かの命を救うのは、医師やカウンセラーだけではないかもしれません。たったひと言「どうしたの?」と声をかけてくれたあの人。何も言わず、ただそばにいてくれたあの人。そうした誰かの存在が「孤立」という選択肢を遠ざけてくれると考えています。


私たち一人ひとりが、誰かの「ライフセーバー」になることが求められている時代です。その第一歩は、見えない心の声に静かに耳を澄ますことから始まるのではないでしょうか。


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